１、産卵木

♀は沢山の子孫を残すという事を遺伝子に組み込まれている為に産卵場所を選ぶ習性があります。
なので産卵木の良し悪しは産卵数を大きく左右する大事な要因になります。
従って質が良く適度に熟した朽ち木が必要です。
質の良い産卵木とは、断面で見た場合に中心まで真っ白で芯が無いこと、親指の爪でぎゅっと断面の樹肉を押すと爪が入ることが理想的な腐朽状態です。
太さは１５〜１８センチくらい、長さは２５センチくらいがベストです。
セッティングする際には♀の産卵を促進するために産卵木の表皮を半分程度剥いでおくのも効果があります。

２、使用するケース

一般の昆虫ケースでいうと「特大」サイズもしくはホームセンターなどで手に入るＱ-ＢＯＸの30がちょうど良いです。

３、♂♀の選別

ペアリングさせる際の♂♀のサイズは非常に重要で♀の産卵数を左右します。
以下にサイズによる基本的な組み合わせ例を書いておきます。

組み合わせ例
ｻｲｽﾞはmmです。
♀３５/♂５２〜５３	♀３６/♂５３〜５４	♀３７/♂５４〜５６
♀３８/♂５７〜５９	♀３９/♂６０〜６１	♀４０/♂６２〜６３
♀４１/♂６５〜６６	♀４２/♂６７〜６８	♀４３/♂６８〜６９
♀４４/♂７０〜７１	♀４５/♂７１〜７４	♀４６以上/♂７５以上

多くの幼虫を採取しようとするなら使用する♂と♀は必ず未使用の新成虫が必要です。
しかも最も産卵に適している成虫は前年の秋に羽化しその後６ヶ月を経過した成虫で、♂♀共に完全に成熟しており♀の体重も重いです。
♂にしても♀とペアリングさせれば即交尾行動に移るくらい成熟しており失敗する確立はかなり低くなります。
また♂は大顎の形の良い体形のバランスが取れた個体が良く、特に大顎の形は同サイズに羽化した場合には遺伝的に同形になるので大歯形の成虫がベストです。
♀は産卵木を顎で削る必要があるので両顎のバランスが良く先端が鋭く尖り、体幅の太い個体がベストです。

４、ペアリング前の栄養

交尾前の♀は産卵に備えて自らの体力増強を図る為、蛋白質を求める習性があります。
従ってヨーグルトやラードなどの動物性蛋白質を好んで食するようになるので多めに与えるようにします。

５、産卵木の加水

♀は乾燥状態の産卵木には産卵しないのでこの作業は大切です。
それと質の悪い産卵木を使うと時折、カミキリムシやゴミムシ等の卵や幼虫がいる場合がありますので気になる方はレンジで加熱するのも良いと思います。
水に浸す場合は産卵ケースに産卵木を全部きっちりと詰め、完全に水没させるまで水を注いでください。
水を注いだら必ず日陰で２〜３時間放置してください。
直射日光が当たる場所で水に浸していると水の温度が上昇しせっかくの状態の良い産卵木が腐敗してしまうため注意してください。
腐敗してしまったら産卵率、孵化率ともに著しく低下します。まったく使いものになりません。
それと水没させてる最中に水が茶色く濁るような産卵木はすでに雑菌により内部が侵されてる為あまり適さないです。
２〜３時間ほどしたら水から出し約１時間ほど乾燥させ表面が乾いたらＯＫです。

６、産卵木のセット

適度に加湿した産卵木を繁殖用ケースにセットするには、まずケースの底に１センチ位埋め込み用のマットを固く敷きます。
その上に産卵木を２〜３本並べていきます。
産卵木の隙間に埋め込み用マットを軽く詰めて隙間をなくします。

７、成虫のセット

繁殖ケースの準備ができたらペアリング用の成虫を繁殖ケースへそっと入れます。順番としては♀を先に入れ落ち着いた頃♂を入れる方がうまくいくようです。
ペアリングする時の成虫数は♂１匹に対して必ず♀１匹にしてください。
成虫をセットしたら同時に蛋白質が多く含まれたヨーグルトやバナナ、ラードなどのエサをたっぷりと与え切らさないようにしましょう。
だいたい３日、遅くても１週間で交尾は終わってます。♀が地中から出てこなくなったら産卵行動に移行してますので♂はとりだしましょう。

８、繁殖ケースの管理

繁殖を効率良く行う為にケースの保管場所は重要なポイントです。必ず直射日光の当たらない日陰の涼しい場所に保管するようにしましょう。
音や振動は♀の産卵に良くないのでできるだけストレスを与えるような要因を排除した静かな所を選ぶのが大事です。
また一度セットしたらいたずらに覗かないようにします。
産卵木を削った屑やエサの減り方が落ち着いたら（目安として２週間ほど）♀を取り出しあとは放置します。
これで約１ヶ月後には沢山の幼虫が生まれる事でしょう。